ひとり旅 吉村 昭 著

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『ひとり旅』吉村昭著

 平成18年7月31日、ひとりの作家が死去した。戦記小説・歴史小説の名匠として知られた吉村昭である。本書はその作者の、最後の随筆集にして、最後の著作物だ。


 随筆は、過去の出来事・日常雑記・創作話が中心になっている。
また、インタビューや講演、小沢昭一との対談が収録されているのも見逃せない。どれも興味深い内容だが、やはり面白いのは創作関係の話だ。
『陸奥爆沈』『破獄』『桜田門外ノ変』『彰義隊』…。数々の傑作に秘められた、創作者の奮闘や苦闘が、鮮やかに浮かび上がるのである。

 なかでも驚いたのが『桜田門外ノ変』について語った「小説の書き出し にがい思い出」だ。ここで作者は『桜田門外ノ変』の執筆に着手したものの、2度にわたり原稿を破棄したといっている。

1度目は20枚だからまだしも、2度目は252枚まで書き進めたところで“史書にある、通り一ぺんの抽象的な解釈を鵜呑(うの)みにして、尊王攘夷(じようい)論を書いてきた軽率さ”に気づき、これを焼却したというのだ。『桜田門外ノ変』が、水戸藩の尊王攘夷思想に独自の解釈を下した傑作であることは、周知の事実であろう。その裏には、これほどまでに誠実な作者の創作姿勢があったのである。

 しかもこれは、ほんの一例にすぎない。取材の仕方や、取材相手とのやりとり。たった2行の記述のために、長崎まで行った話。

ひとつひとつのエピソードから、史実そのものがドラマであるという確固たる信念と、戦記小説で培った、とことんまで事実を突き詰めるという意志が、しっかりと伝わってくる。それがあったからこそ、あれだけの重厚な歴史小説が生まれたのだと、深く納得してしまうのだ。

 もう、吉村昭の新作を読むことはできない。しかし作者は魂魄(こんぱく)を傾け、濃密な読書時間を約束してくれる、多数の作品を残してくれた。今はただ、その事実に、感謝を捧げたいのである。(文芸春秋・1365円)

 文芸評論家 細谷正充

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文庫になってから初めて読ませていただきました。キッカケはイラスト担当の浅田さんが好きだったから、なんですけど。テンポ良し、キャラクター良し、イラスト良し。しかしエロに抵抗がある方は全く読めません、この作品。まぁエロなしでは、この話は作れませんが。個人的に